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散歩の途中で見かけた日常風景をデジカメで切り取った写真と、小さなつぶやき


by happo_abe
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白魔法をかけられた

夏の日差しと青空じゃない。
GWの五月なのに不思議だな。

こんな日差しのときには、目を細めて、ゆっくりと歩きます。

白魔法をかけられた_b0147419_2215312.jpg



太陽が真上にあるから、翳が小さくて濃いのです。

草花はぼんやりとした朝の光が一番美しい。
人工的な建造物はギラギラと照りつけるこんな日差しが美しい。

白魔法をかけられた_b0147419_22345951.jpg


今日は人造物の直角が美しい。

今日は、二か月前にともだちになった人から、白魔法の実験台になってほしいといわれたので、初めての場所に出向きます。

記憶のなかの彼女は美しい人だったけれど、あれは、雨上がりのぼんやりした光の中だった。
今日の光のなかで、覚えたばかりの魔法をかけに来るのだから楽しみです。

でも、何をされるのかわからないから不安でもあります。

一度しか会ったことがない若い魔法使いだけど、優しい目をしていたから、そんなにひどいことはされないと思う。

せいぜい猫にされるくらいかな。
それなら喜んで、なります。

白魔法をかけられた_b0147419_22145036.jpg


待ち合わせの場所は、半透明のガラスで細かく仕切られた場所だった。

建物の中は、薄青い色の光で満たされていて、とても静かだった。



こういうおだやかな光の中でなら、催眠術くらいなら掛けられて、そのまま小動物になってもいいな・・・・・
という気になりました。

でも、白い人が大きなカバンから取り出したものは、マス目の入った板と白黒のチップだった。

白魔法をかけられた_b0147419_22365470.jpg


囲碁という占いゲームだと教えてくれた。

13本の線の交点に交互にチップを置いていき、自分の領域を広く描いた方が幸運を手に入れるという占いゲームだという。

ぼくが見たことのあるゲームは、もう少したくさんのマス目があり、白黒のチップも丸い器に入れていたと思う。

正座して、おじいさんが考え込んでそのまま石になってしまうようなゲームだと思ってた。

でも、13路という、不思議な数字の盤で、きれいな細長いペンケースから白黒のチップを取り出して配置するほうが、白魔法をかける道具としてはふさわしいと思った。

おしえてもらったら、すごく単純なゲームだった。

かわるがわる置いていくだけだから、誰にでもできる。

でも、最後は置く場所がなくなるよね・・・・・
って聞いたら・・・・・・
そうだね、いつかはおわるよね、と彼女が答えてくれた。

それってなんか、さびしいね・・・・ってはなしかけたら、そうだね、さびしいね、とこたえたけれど、上の空だった。


白魔法をかけられた_b0147419_22214248.jpg


碁石チップを指先でつまむしぐさがかっこよくて、それが気になって仕方がなかった。
練習したら、ひとさしゆびとなかゆびをのばしたままで、13路盤のうえに置けるようになるかな。

なりたいな。
でもむつかしいんだろうな。

白魔法をかけられた_b0147419_22234748.jpg


ゲームはぼくが勝ったのだけど、その勝ち方は占いではそれは、負けたことになるみたいだった。
まだ初心者だから勝ち方がよくわからないし、勝った方がいいのかどうかも分からなかった。

魔法がうまくかかったのかどうかもわからなかった。

とってもたくさんのことを話したような気になったのだけれども、ほとんど会話はしていないことに気がついた。
囲碁って不思議なゲームだ。

それいらい、ずーっと、囲碁のことだけを考えている。

それが、彼女のかけた魔法だったのかどうかも、わからない。

今度会ったときにおしえてもらおう。

でも、こんどはいつ会えるのかなあ?

囲碁が好きになったの? 彼女が好きになったの?

それもわからなくなるのがきっと白魔法。
by happo_abe | 2010-05-09 22:30